聖書 詩編22編1~32節
    マルコによる福音書15章33~39節
説教題 「変えられた嘆き」
「主は貧しい人の苦しみを決して侮らず、さげすまれません。御顔を隠すことなく助けを求める叫びを聞いてくださいます。」(25)
  「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」(マコ一五・三四)と主イエスは十字架上で叫ばれました。詩編二二編全体で詩人が嘆き、賛美している内容を、主イエスはご自分のこととして捉えておられました。詩人と同じような苦しみを主イエスもお受けになりましたが、主イエスに神の助けは来ません。
  神を信頼しているのに答えが何もないと、自分は神に見捨てられたのではないか、と段々不安になってきます。私たちが抱くのと同じ思いを、主イエスも十字架の苦しみの中で抱かれました。死にゆく人の悲しみを味わわれました。私たちが陥りやすい神への不信とそこから来る絶望に、主イエスは向き合われました。
  主イエスは私たちと同じようになられたわけです。死に向かいつつ歩む私たちに主イエスは、私もその一人だったよ、と語りかけてきます。神に見捨てられたのではないか、と私たちが嘆くときに、私が一緒にいる、とおっしゃるために主イエスも同じ苦しみに遭われたのです。神は私たちから遠く離れておられるのではありません。主イエスを通してお答えになりました。